パチンコやスロット、競馬、競輪、競艇などのギャンブルや、キャバクラ、スナックでの飲食、ブランド品などの購入など浪費が原因で作ってしまった借金を債務整理できるかですが、一般的にこのような債務は債務整理に適さないと言われることがあります。
しかし、ギャンブルや浪費が原因で作ってしまった借金でも債務整理はできます。ここでは、ギャンブルや浪費が原因で作ってしまった借金をどのような方法で債務整理をするか解説します。
債務整理には何通りか方法があることはご存知でしょうか。
- 任意整理
- 自己破産
- 個人再生
これら3通りの債務整理の方法があります。各方法について、ギャンブルや浪費が原因の債務の債務整理との相性を見ていきます。
① 任意整理
任意整理は弁護士がカード会社等の債権者と交渉し毎月の返済額の減額や、毎月発生する利息をカットする債務整理の一つの方法です。裁判所などの機関を通じて行うものではないため早期に行うことができ、ほとんどの場合で返済額の減額や利息のカットなどの結果を得ることが可能です。
任意整理を行う際は、カード会社の担当者と債務の支払い総額や毎月の支払額、支払い回数等を交渉するのですが、この際に借り入れたお金の使途や借り入れの理由を問われることはありません。これまで私は10年以上任意整理業務に従事してきましたがこのようなことを聞かれたことはありません。
したがって、仮にすべての借金がギャンブル等が原因でも任意整理を行うことは可能です。
② 自己破産
自己破産は、裁判所の手続きを通じでカード会社等の借金を帳消しにしてゼロにする方法です。自己破産した場合は、原則として借金はゼロになります。
特に収入に対して借入額が大きい方には効果が多大な方法です。さて、自己破産は任意整理と異なり裁判所に借金の免責許可決定という、借金をチャラにしてもらう判断を出してもらわなければなりません。その際に破産法では、免責不許可事由と言って、裁判所がこのような場合は免責許可決定を出してはいけませんよと定めた法律があります。
この中に「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。」という内容の規定があります。簡単に申し上げると、ギャンブル等に多大に金銭を使い、これが原因で支払えないほどの借金をつくった場合は破産はできないと定められているのです。
裏を返すとギャンブルが原因の借金が全体の借金の中の一部である場合は免責不許可事由に当たらないのです。すなわち、数百万円借金がある場合、月に数回パチンコに通い毎月数万円使っただけでは免責不許可事由とはならない可能性が高いのです。
仮に免責不許可事由に当たる場合でも裁量免責という裁判官の判断で免責を認めることができる制度が存在します。
そもそも自己破産は多重債務者を救済する制度であるため、ギャンブルや浪費が原因の多重債務者を救済しないことになると自己破産の本来の目的が達成できなくなるためです。
自己破産の手続きの中で借金の原因がギャンブルや浪費であることを反省し、今後の生活を見直し改善することを裁判官に反省文等を作成しアピールすることで多くの場合は免責を得ることが可能でしょう。
③ 個人再生
個人再生は、裁判所の手続きを通じて認可された再生計画を守り、毎月借金を分割して支払っていく方法です。
個人再生の大きな特徴は、原則として借金の元金を5分の1から10分の1程度まで減額ができること、住宅ローン特別条項を付した認可決定を得れば、住宅ローンを今まで通り支払いを継続させながら、その他の借金を圧縮することができることです。
個人再生は破産のようにギャンブルや浪費が原因の借金が再生計画案の不認可事由とはなりません。
しかし、個人再生は自己破産と異なり借金を圧縮して分割で支払っていく手続きです。ギャンブルや浪費が治らなければ結局、分割払いを怠ることになり再生計画を履行できなくなってしまうでしょう。
ギャンブルや浪費がある場合は弁護士にそのことを正直に打ち明け、特に慎重に支出の管理やアドバイスを受けることが重要です。