任意整理と自己破産の違い

任意整理と自己破産はいずれも債務整理の手続きの中の1つの方法ですが、それぞれ大きな違いがあります。いざ債務整理をすることを決意したとしても、この2つの手続きの違いを理解しなければあなたにとって最適な手続きをとことはできません。ここでは任意整理と自己破産のそれぞれの違いやポイント、メリット・デメリットなどを解説します。

### 任意整理と自己破産の主な相違点をまとめました。

  自己破産 任意整理
効果 借金がゼロに 元金を数年かけて支払う
信用情報 ブラックになる ブラックになる
手続き 裁判所に申立てる 債権者との交渉
資産 一定額以上の財産は処分の対象 処分する必要なし
必要期間 半年~1年程度 数年(返済期間次第)
借入の理由 問題になる 問題にならない
仕事への影響 職業による なし
官報 載る 載らない
かかる費用 25万円~40万円 1社約3万円

1 自己破産は借金がゼロになる

自己破産の手続きが完了すると裁判所から破産の免責許可決定を得る必要があります。この免責許可決定を得ると正式に借金の支払義務が無くなることになります。借金の金額には制限はなく、借金の金額が100万円でも1,000万円であっても自己破産ができることになります。

任意整理の場合は、基本的には元金は数年かけて分割で支払わなければなりません。ただし、将来の利息(年利5%~18%)はカットできる場合が多いため任意整理後の弁済は全額が元金に充当されることになるためトータルの支払額、及び支払期間を大幅に減らすことができるのはメリットだと言えます。

2 自己破産は裁判所への申立てが必要

自己破産は申立人の方が居住する住所地の管轄裁判所へ破産手続きの申立てを行う必要があります。裁判所への提出書類には債権者に関する資料や収入関係の資料、資産関係の資料等多岐にわたるため、基本的に弁護士等の専門家の関与なしには手続きを執ることがきません。

任意整理の場合は、債権者と個別に交渉することになるため、収入関係の資料や資産関係の資料を求められることもまずありません。

3 自己破産は一定以上の資産は売却等が必要

自己破産は借金がゼロになる点は大きなメリットですが、一定額以上の資産は残しておくことができず、自己破産の手続き中に売却等を行う必要があります。

たとえば、車や家がある場合は、多くの場合は売却の上、その代金を借金の支払い等に充てなければなりません。

家の場合は高額になることがほとんどですので、家を売却せずに自己破産することはまずありませんが、車の場合は初年度登録年や車両価格が一定の基準を満たせばゼロ評価として手元に残したまま破産をすることも可能です。

また、自己破産の手続きをとっても破産した後に生活をしなければならないので、生活に困らないよう、一定の現金、生活必需品(破産法34条3項2号、民事執行法131条1号、2号)等については、処分されずに残すことができます。

4 自己破産をすると一定の職業制限がかかる

自己破産の手続き中は、宅地建物取引士・警備員・保険外交員等の職業に制限がかかり、これらの仕事ができなくなります。しかし、仕事のできない期間も一定期間で、基本的には、復権といい免責許可決定を受ければまた元通り仕事をすることができます。

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