職業によりそれぞれ最適な債務整理手続きも違ってきます。ここでは任意整理、自己破産、個人再生などの債務整理手続きと、どの職業の方にどの債務整理手続きが最適かを解説します。
① 会社員
会社員の方は安定した収入がある場合が多く、任意整理、個人再生の手続きを取りやすく、収入に対して大きすぎる借金がある場合は、自己破産の手続きを取るのがいいでしょう。
自己破産や個人再生の場合は、給与明細や源泉徴収票を裁判所に提出する必要がありますが、会社に自己破産や個人再生を行うことを申告する必要はありませんので会社にこれらの手続きを取ろうとしていることがばれてしまうことはまずないと思われます。
ただし、勤続5年以上の方は、退職金額の証明書を裁判所に提出する必要があるため、会社に退職金額の証明書の作成を依頼しなければなりません。会社に依頼する際は、別の目的で使用する旨伝えれば問題ないと思われます。
自己破産手続を執った場合の注意点として、保険外交員の職業の方は、破産手続きを取る際に、免責決定を受けるまでは保険外交員の資格を取り消されてしまう可能性があります。
会社へ自己破産したことを報告する義務まではありませんが、会社側が官報等をチェックしており、資格の取り消しにつながってしまう恐れもあるため、多くの場合は保険外交員の方には個人再生手続きをお勧めします。
警備員の方は、自己破産の手続き中は警備員としては勤務できません。あくまでも自己破産の手続中のみですので、その間は社内で配置転換等をしてもらったり休業するなどして破産手続き終了後に勤務を再開することをお勧めします。
② 主婦
主婦の方が借金をする場合、夫の給与で賄えない生活費や教育費、ショッピングなどが原因であることがあります。夫に相談したうえでの借金であれば、夫と相談して債務整理の方針を決めることができますが、夫に秘密にして借金をしている場合、夫に内緒で債務整理ができないか相談されることがあります。
家族に内緒で債務整理を行いたい場合は、基本的にはもっとも簡易な手続きである任意整理手続きがお勧めです。
しかし、任意整理は将来の利息を債権者にカットしてもらい元金を長期間かけて分割払いする手続きですので、多くの場合、主婦の方には利用しにくい手続きです。主婦の方の場合、収入がないため、自己破産手続きをお勧めします。
夫に内緒にして自己破産できるかという点ですが、給与明細などの家計に関する書類を裁判所に提出する際ばれてしまうリスクがありますが、これをクリアできればばれない可能性が高くなります。
官報公告により自己破産が公表されますが、特殊な場合以外は見ることはありませんので気にする必要はないでしょう。
③ 自営業
自営業の方の場合も基本的には会社員の方と同じく、任意整理、自己破産、個人再生、いずれの手続きも収入や借金の金額に応じて取ることができます。
自営業の方が自己破産をする場合心配されるのが、自己破産により事業を辞めなければならないかという点です。業種にもよりますが、現場で作業する一人親方の場合、そのまま継続することが可能です。
重機や機械等の設備を自己所有している方はこれらの設備が20万円以上の評価額となる場合は換価の対象となるため、場合によっては事業を継続できなくなることもあります。
④ 無職の場合
収入がない場合、弁済のための資金を準備することができないことが多いため、任意整理や個人再生は困難な場合が多く、自己破産手続きをとることで借金をゼロにすることが最適と考えられます。