自己破産とは裁判所の手続きを通じて、借金をゼロにしてもらう方法です。自己破産手続きには同時廃止事件と管財事件の2種類があります。この二つの手続きは同じ自己破産事件ですが免責許可決定を受けるまでの流れに大きな違いがあります。ここでは同時廃止事件について詳しく説明します。
同時廃止事件とは
同時廃止事件は、破産手続きを申し立てる人の財産が一定の金額以下の場合に認められる手続きで、基本的には書面審査だけで破産の免責許可が下りる制度です。
同時廃止事件で破産することができれば破産の手続き費用を抑えることができますし、免責許可決定をうけるまで約6か月程度と比較的短期間で破産手続きを終えることができます。
同時廃止の対象事件は以下のとおりです
- 生命保険、退職金、自動車等の資産が個別で20万円未満であること
- 現金及び普通預貯金の合計額が50万円未満であること
これらの条件をいずれも満たす場合は同時廃止事件として処理することが可能です。
ただし、この条件を満たしていたとしても、免責不許可事由があり、管財人が免責調査を行い破産者の生活状況を観察する必要がある場合等、管財人が特に調査を行う必要がある場合は管財事件となりますのでご注意ください。
また、2度目の自己破産の場合は、1度目の自己破産が相当古い場合を除いて管財事件になる可能性が高くなります。
同時廃止の流れは以下のとおりです。
同時廃止の流れ
① 弁護士に相談

② 受任通知の送付
債務者からの督促が止まります。

③ 自己破産の申し立て準備
資料を準備します。
- 預貯金通帳
- 源泉徴収票、給与明細
- 保険証券
- 車検証
- 退職金証明書
- 住民票

④ 破産申立~破産手続開始決定
原則としてこのとき同時廃止手続決定が出ます。

⑤ 免責のための陳述書の提出
過去には免責審尋という集団面接という形でしたが、コロナ禍きっかけに書面審査になりました。

⑥ 免責決定~免責確定
同時廃止事件ですと、かかる費用は弁護士費用と予納金が約1万2,000円になります。
預貯金が50万円以上ある方でも、弁護士費用に預貯金を充てるなど合理的な使用方法であれば同時廃止基準を満たすことができます。
同時廃止事件に当たるかどうか不安な方は、ぜひ弁護士にご相談ください。