任意整理とは債務整理手続の一種で、借金の利息をカットしてもらったり返済期間を引き延ばしたりして毎月の返済額を減らし、数年間の長期弁済により完済する制度です。返済期間は多くの場合で、3年から6、7年程度になります。
では具体的に任意整理を行った場合どれくらい債務が減るのでしょうか。まず、任意整理で債務が減額される仕組みを解説します。
将来利息のカット
将来利息はその名のとおり将来発生する利息のことで、通常のカードローン等では年間18%程度の利息が発生します。任意整理をすることで、こうした将来利息はカットすることができます。
ただし、取引期間が1年程度であったり、一度も返済していなかったりする場合は将来利息のカットに応じてもらえない場合もありますので注意が必要です。
将来利息は年間20%近くに及ぶものであり、100万円の借入れでも年間20万円程度の利息が発生することになります。これをカットできることは任意整理における最大のメリットと言えます。
返済期間の見直し
任意整理では、将来利息をカットしてもらい支払総額を元金や一部の経過利息、遅延損害金に限定した上、分割支払いの期間を3年から5年程度に延長してもらいます。
場合によっては6年以上の長期分割支払いに応じてもらえることもあります。これまで将来利息を支払いながら弁済していたときは弁済金の内、元金に充当されるのは一部で大部分を利息の支払いに充てなければなりませんでしたが、任意整理後は支払金額のすべてが元金に充てられるため、返済計画通りに履行すれば確実に完済ができるようになります。
任意整理により実際にどれくらい借金が減額できるか以下で見ていきます。
消費者金融2社から50万円ずつの合計100万円を借入れ、将来利息は18パーセントの場合
任意整理をしない場合
返済期間 | 3年 |
総返済額 | 約130万円 |
毎月返済額 | 約3万6,000円 |
返済期間 | 5年 |
返済総額 | 約152万円 |
毎月返済額 | 約2万5,000円 |
任意整理をした場合
返済期間 | 3年 |
総返済額 | 100万円 |
毎月返済額 | 2万8,000円 |
返済期間 | 5年 |
総返済額 | 100万円 |
毎月返済額 | 1万7,000円 |
任意整理前の返済期間の長さにもよりますが、任意整理により30万円から50万円支出が抑えられることになります。上記は100万円を借り入れた例ですが、借入金額が大きく、返済期間が長ければ長いほど将来利息の負担は増えますので、任意整理の効果は絶大です。