オートローンの任意整理
任意整理の際、オートローンを任意整理の対象とすると自動車は債権者に引き揚げられることが多く、引き揚げた自動車を債権者の方で売却し売却代金から諸経費を除いた金額を残債務に充当することになります。
残った債務を分割して長期間かけて支払うことで完済を目指すことになります。このようにオートローンを任意整理の対象とすると、オートローンには一般的には所有権留保といって、自動車の所有権をローン会社(主に信販会社)の名義にされていますので、ローンを支払えない場合は担保として取ってある自動車で返済することになるのです。
なお、銀行のマイカーローンの場合は所有権留保が付いていないことが一般的なのでマイカーローンを任意整理しても車両の引き揚げはされないことになります。
したがって、自動車を手元に残したい場合はオートローンの債権者を債務整理の対象から除外する必要があります。
ただし、任意整理ではなく自己破産や個人再生の場合は、裁判所にすべての債権者を対象として手続きを行わなければならないため、オートローンの債権者のみ除外することはできません。どうしても自動車を手元に残したまま自己破産や個人再生をしたい場合は、オートローンを第三者に完済してもらうことで自動車を手元に残すことができる場合があります。
ただし、ローンの負担のない自動車は一定の基準により資産として計上されてしまうため自己破産の場合は結局は売却せざるを得ない場合もありますし、個人再生の場合は自動車の資産価値を返済計画に組み入れる必要が生じることもあるので注意が必要です。
銀行のマイカーローンの場合、車を引き上げられる心配はほぼない
ディーラーや信販会社のオートローンと似たものとして、銀行の「マイカーローン」があります。
住宅ローンと任意整理
住宅ローン自体を任意整理の対象として手続きを行うことはできませんが、住宅ローン以外の債務を任意整理して、毎月の返済額を抑えることで住宅ローンの支払いを楽にすることはよくあるケースです。
任意整理をすることで将来利息をカットすることができ、長期間の分割弁済も可能になるため住宅ローンの支払いにお悩みの方は一度検討することをお勧めします。住宅ローンは一般的に6カ月程度滞納を継続すると期限の利益を喪失し、一括返済を求められます。
一括返済を求められると支払いはできないことになるため、最悪不動産競売により自宅が競売にかけられることになります。そうなってからでは、自宅を守ることはできなくなってしまいます。
住宅ローンとその他のカードローンやクレジットカード関係の債務がある場合、個人再生も視野に入れるべきです。
住宅資金特別条項付個人再生を利用すれば、住宅ローン以外の債務を一定程度に圧縮することができます。個人再生は住宅ローンを支払いながら、圧縮された債務を3年から5年程度かけて返済していく手続きであり、自宅を手放さずその他の債務の元金を圧縮できることに特徴があります。
ただし、利用するには条件があるため詳しくは弁護士にご相談ください。
債務の額 | 求められる返済額 |
100万円未満 | 当該債務の額 |
100万円以上500万円未満 | 100万円 |
500万円以上1500万円未満 | 当該債務の額の20% |
1500万円以上3000万円未満 | 300万円 |
3000万円以上5000万円以下 | 当該債務の額の10% |