法人破産と代表者個人の破産について

借金等によりこれ以上会社を続けていくことができなくなった場合、選択肢としては法人破産があります。それでは法人破産とはどのような手続きなのか、ここでは法人破産について解説します。

まず、法人破産とは借入の増大や売り上げの減少等様々な理由により債務超過となった法人について、裁判所に申立てをし、破産管財人の管理の下法人の資産を売却等して債権者に配当することで会社を精算する手続きです。法人破産の手続きが完了すると最終的には法人は消滅することになります。

法人破産の特徴

1 債権者からの取り立てが無くなる

法人の破産のメリットとしては、破産を検討する多くの会社は債務超過となっているでしょうから経営者は毎月の債権者からの取立ての対応に追われていることでしょう。弁護士に法人破産を依頼すれば、債権者からの取立等の対応は全て弁護士に任せることができますので、債権者からの取立に悩まされることもありません。

2 債務が消滅する

法人破産をすることで債務が消滅します。これは銀行や信販会社、信用保証協会等の債権はもちろん、法人税や社会保険料等の租税公課についても消滅することになります。破産や精算以外の再建型の債務整理では債務が完全に消滅することはありませんので、債務が消滅することは法人破産の一つのメリットであると言えます。

3 会社の資産は全て換価されて配当に充てられる

会社の資産は全て換価されて債権者の配当に回されます。要するに破産時点で会社が有する資産を使って借金を返済して、それでも支払いきれない借金は会社の消滅により無くなることになります。もちろん、会社に全く資産がない場合でも法人破産は可能です。

ここで換価される資産は法人名義のものに限られ、原則として個人の資産が換価されることはありません。

4 経営者等の代表者の破産も必要になる

銀行等からの借入れの連帯保証人に経営者がなっていることはよくあることだと思います。この場合、会社が破産すると連帯保証人である経営者に連帯保証債務を銀行等が請求することになるため、経営者個人も破産をすることを強いられることもあります。

法人破産の流れ

法人破産はまず弁護士に相談することがスタートです。法人破産は相談から破産手続きの終了まで1年程度かかることも珍しくありません。まずはお早めに相談ください。

1 弁護士へ相談・依頼

毎月の返済に困ったり、取立が厳しい場合はすぐに弁護士に相談しましょう。会社の経営状況や債務額等を弁護士に伝えれば最適な解決策のアドバイスを受けることができます。相談のタイミングが早い方が選択肢が多くなりやすいため早めの相談をお勧めします。

相談の結果、法人破産が最適であるとの結論に至ったら弁護士に依頼し、受任通知を債権者に送付してもらいましょう。これによって債権者からの取立はストップします。

ただし、受任通知は会社が破産することを公に伝えることになるため、混乱が広がる恐れがある場合は受任通知を送付せずに進める方法もあります。

社員については法人破産を依頼した段階で早期に解雇手続きを執ることになります。

2 法人破産のための資料収集をします

法人破産のための資料、会社の直近2期分の決算書や預金通帳、不動産の登記簿、賃金台帳等裁判所に提出するための資料を収集します。弁護士が会社の代表者や担当者と一緒に進めていきますので弁護士の指示に従い書類の収集をします。必要な資料がそろったら裁判所に破産の申し立てをします。

3 弁護士費用と裁判所に納める費用について

法人破産をするにあたり、弁護士費用や裁判所に納める費用が必要になります。弁護士費用は40万円~、裁判所に納める費用は20万円~、債務額や資産状況に応じて決まることになります。

手元の預金や現金では費用に不足する場合は、売掛金の回収や自動車や保険等の売却、解約等により捻出する場合もあります。

4 破産管財人の選任

破産を申立、裁判所から破産手続開始決定を受けると、申立側の弁護士以外の弁護士から破産管財人弁護士が選任されます。この破産管財人の弁護士は、会社が破産に至る経緯を確認し、財産の調査や財産の換価を行い、会社に否認対象行為がある場合は否認権を行使する等して成立した破産財団から債権者に配当をする役割があります。

5 債権者集会の対応

債権者集会という裁判所での手続きでは破産管財人から債権者に対して債務者が破産に至った事情や会社の資産状況について説明があり、出席した債権者から質問や意見が出されることもあります。依頼した弁護士は債権者集会に同席し、経営者のサポートをします。

6 債権者への配当が行われる

破産管財人の調査の結果、法人に資産があると判断した場合は全て換価をして各債権者の債権額に応じて配当し、配当手続きが終了したら破産手続きの終結の決定により、法人格は消滅することになります。

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