民事再生とは
借金等に悩む会社にとっては解決するための1つの方法として民事再生という手続きがあります。
借金から解放されるための手段として、自己破産という手続きがあるというのは皆さんご存知かもしれませんが、日本の法律では、破産など会社を解散させて消滅される「清算型」の手続きと会社の継続が前提である民事再生や会社更生などの「再建型」の手続きの2つのパターンがあります。
民事再生法における再建手続は、主に以下のとおり分類できます。
スポンサー型
スポンサー型は他社から援助を受けて再建を目指す手続きです。主なスポンサーとなり得る企業は、同業他社や隣接異業種などの企業や金融機関等が出資や事業譲渡等の経済的支援をして再生計画を立案し実行していきます。
スポンサー型は再生を目指す会社に他社にはない魅力的な技術が存在しなければ、スポンサー企業の援助の対象にはなりません。
自力再建型
自力再建型とは、裁判所に債務を圧縮してもらい、自社の営業利益をもとに借金を返済していくことで再建を図る方法です。スポンサーが無くても再建できるほどの営業利益がなければならないため、限られた会社が対象となります。
民事再生のメリット
経営権を維持できること
破産や会社更生を選択した場合、取締役等の役員は交代しなければなりませんが、民事再生であればその後も経営権を持ったまま会社にとどまることができます。
事業を存続できる
民事再生は再建型の手続きであることからその事業を民事再生後も継続できることは最大のメリットであり民事再生の目的でもあります。最長10年間の返済猶予を受けることが可能であるため、その間に再建を図ることになります。
民事再生のデメリット
担保権が行使されてしまい、財産を手放す必要があることも
不動産に抵当権が設定されている場合、その担保権者は担保権を実行することが可能であるため、経営上重要な不動産を手放さなければならないことになることも。民事再生を行う際は担保権社との折衝は必要不可欠といえるでしょう。
得意先からのイメージが悪化する
民事再生は、再建型の手続きであるためその会社に資力がないことが公になることになります。取引先との信頼関係が破壊され、民事再生後の継続取引を打ち切られてしまうこともあります。
これにより業績が悪化してしまい民事再生がとん挫することが無いよう、得意先との綿密な打ち合わせが必要となります。
新たな融資が受けられない
民事再生をすると銀行が貸し付けた債権が圧縮されてしまうため、銀行としてはそのような手続きを取った会社に対する融資は消極的になるでしょう。また民事再生をした会社に対する融資はリスクがあるため銀行から融資が下りなくなってしまうのです。
民事再生の手続き
民事再生法には、民事再生の申立てができる条件が定められています。
- 支払い不能または債務超過となるおそれがある場合
- 無理をすれば支払えなくはないが、その結果、事業の継続が難しくなってしまうような場合
- 債権者の賛成を得られる再生計画案を作成できること
民事再生の流れ
申立て・保全処分の決定
監督委員の選任
再生手続開始決定
申立てから開始決定まで通常は2週間程度。
債権届出
債権者が再生手続に参加するためには、裁判所が定める期間内に債権届出を行うことが必要。
財産評定・財産状況の報告
会社は、裁判所に対し、財産価額の評定や財産状況の報告を行う。
債権認否書の提出・債権調査期間
会社は、債権届出があった債権の認否を行う。
再生計画案の作成
会社は、裁判所に対し、再生計画案を作成して提出する。
債権者に対する「弁済率」は、最低限、会社が倒産したと仮定した場合の配当を上回るものでなければならない。
再生計画案の決議・認可
再生計画案について債権者集会で決議を行う。
再生計画の遂行
再生計画が可決すると、弁済がスタート。
監督委員は3年間、再生計画の遂行を監督する。